※2026年9月に最新情報へ見直しました。

辛い便秘に悩む人は多いですよね。どうにかしたいと思っていても、薬を毎日飲むわけにもいかない……そんな方の間で話題になってきたのがココナッツオイルです。美容やダイエットに良いとされ、愛用している芸能人も少なくありません。私自身、便秘解消を期待して試してみたところ、お通じの変化を実感できました。ただし、良いことばかりが強調されがちなココナッツオイルにも知っておきたい注意点があるので、あわせて紹介します。
◆便秘の味方?ココナッツオイルの成分
ココナッツオイルには中鎖脂肪酸とラウリン酸が含まれていることがポイントです。この2つの成分が便通に関わっていると考えられています。
中鎖脂肪酸はヤシ科の果実などに含まれる脂肪酸で、ココナッツオイルの成分のおよそ60〜70%は中鎖脂肪酸と言われています。一般的に調理でよく使われるキャノーラ油やラードなどの多くは長鎖脂肪酸で、中鎖脂肪酸は分子が小さく水になじみやすいため、体への吸収が速く、腸にも届きやすいという特徴があります。
大腸のぜん動運動を促す効果や、オイルそのものが潤滑油のように働き便を排出しやすくする効果が期待できるとされています。
ラウリン酸は中鎖脂肪酸の一種で、ココナッツオイルはラウリン酸の含有量が特に多いことで知られています。ラウリン酸には抗菌的な作用があるとする実験室レベル(in vitro)の研究報告がありますが、ヒトの体内で大腸菌やピロリ菌などを実際に抑制する効果があるかどうかは、まだ十分に確立された臨床データがあるとは言えません。「腸内環境を整える効果が期待される成分の一つ」程度に捉えておくのが実情に近いでしょう。
◆ダイエット効果については慎重な見方も
ココナッツオイルは「ダイエットに良い」と紹介されることも多いですが、実際には成分の90%以上が飽和脂肪酸です。アメリカ心臓協会(AHA)は2017年、ココナッツオイルの飽和脂肪酸含有量の高さを理由に、心臓の健康のためには摂取を控えるべきとする声明を発表しています。2020年に発表されたメタ分析(Circulation誌)でも、ココナッツオイルは他の植物油と比べてLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)を有意に上昇させる一方、体脂肪や血糖、炎症マーカーへの明確な改善効果は確認されなかったと報告されています。「ダイエットに効果的」と過度に期待するのではなく、あくまで料理や飲み物に取り入れる油の選択肢の一つとして、適量を心がけるのが実情に合った付き合い方と言えるでしょう。
◆ココナッツオイルは1日どれくらい摂ればいい?
便秘への効果を期待する場合でも、摂りすぎは体に良くありません。どのくらいの量を、どのように摂取すればよいのでしょうか。
まずは精製度の低いヴァージンココナッツオイルを選びましょう。余分な添加物が少なく風味も良いとされています。量の目安としては、1日に大さじ2杯程度までを上限の目安にするとよいでしょう。前述の通り飽和脂肪酸の摂取源でもあるため、他の油との置き換えとして使い、単純に上乗せしないよう心がけてください。
そのまま食べる人もいますが、ホットコーヒーやホットティーにティースプーン1杯程度入れたり、トーストに塗ったりして楽しむ人が多いようです。お米を炊くときに加えるという方法も知られています。お米(特に玄米や麦ごはん)は食物繊維が豊富で、それ自体にも便通を助ける効果が期待できるため、組み合わせて取り入れるのも一つの工夫です。
◆副作用・注意点はあるの?
ココナッツオイル自体に重篤な副作用が報告されることはあまり多くありませんが、摂取量が多すぎると、消化しきれなかった脂肪分が腸を刺激し、下痢やお腹の張り、気持ち悪さなどの症状が出ることがあります。体質によってはティースプーン半分程度でもお腹がゆるくなる人もいるため、初めて試す場合は少量から始め、自分に合った量を見つけてください。また、前述の通り飽和脂肪酸を多く含む油であるため、すでにコレステロール値や脂質異常症を指摘されている方は、自己判断で日常的に多量に摂取せず、かかりつけ医や管理栄養士に相談することをおすすめします。
◆まとめ
ココナッツオイルは、中鎖脂肪酸やラウリン酸の働きにより便通の助けになることが期待できる食材ですが、「食べれば食べるほど良い」「ダイエットに確実に効く」というものではありません。ヴァージンココナッツオイルを選び、コーヒーや紅茶、料理に無理のない範囲で取り入れつつ、飽和脂肪酸の摂取源であることも踏まえて、大さじ2杯程度を目安に、お腹の調子を見ながら量を調整するようにしましょう。

