※2026年9月に最新情報へ見直しました。

日常の食生活で摂れるオメガ3(αリノレン酸)が、不安症状の軽減に関連しているという研究報告があるのをご存じですか? パニック障害の原因はまだ完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)のバランスの乱れが関わっているのではないかと考えられています。この記事では、オメガ3と不安症状との関係について分かっていることと、パニック障害の標準的な治療について、あわせて紹介します。 ◆オメガ3(αリノレン酸)とは?
αリノレン酸は食物油に含まれる脂肪酸の一つで、体内で合成できない必須脂肪酸です。
体内に入るとEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に一部変換されます。
DHAは脳の構成成分の一つで、脳の血管をしなやかに保つ働きがあるとされ、学習能力や記憶力の維持に関わっていると考えられています。
血液中のDHA濃度が高い人ほど認知症の発症リスクが低い傾向があるとする疫学研究も報告されています。
ほかにも次のような健康との関連が研究されています。
・中性脂肪の低下
・アレルギー症状の緩和
・動脈硬化など生活習慣病の予防
・免疫機能の調整
・気分の安定、不安症状の軽減
・PMS(月経前症候群)症状の緩和
こうした報告を踏まえ、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でもオメガ3系脂肪酸(n-3系脂肪酸)を一定量摂取することが目安として示されています。ただし、いずれも「摂取と良い傾向との関連が報告されている」という段階の話であり、特定の病気を治す・予防すると保証されたものではない点は理解しておきましょう。
◆不安症状との関連(セロトニン)について、分かっていること
DHAには、興奮や抑うつ状態の緩和に関わるセロトニンの働きを助ける作用があるのではないかと考えられています。国立がん研究センターが2018年に発表したメタアナリシス(19件の臨床研究、計2,240人分のデータを統合)では、オメガ3系脂肪酸の摂取によって不安症状が軽減する傾向が確認され、特に何らかの身体疾患や精神疾患の診断を受けている人でその効果がより大きかったと報告されています。パニック障害を含む不安症全般との関連については現在も研究が進められている段階で、パニック障害に特化した大規模な治療試験としてのエビデンスは、2026年時点でもまだ確立されていません。
◆パニック障害の標準的な治療について
パニック障害(パニック症)の標準治療は、薬物療法と精神療法の組み合わせです。日本不安症学会・日本神経精神薬理学会が2025年6月にまとめた診療ガイドライン(第1版)でも、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬、国内ではセルトラリン・パロキセチンが保険適応)を中心とした薬物療法と、厚生労働省がマニュアルを公開している認知行動療法の組み合わせが、有効な治療法として位置づけられています。オメガ3を含む食生活の工夫は、あくまでこうした治療と並行して取り入れられる生活習慣の一つであり、既存の治療の代わりになるものではありません。動悸や息苦しさ、強い不安発作が繰り返し起きる場合は、食事の工夫だけで様子を見ず、心療内科・精神科を受診することをおすすめします。つらいときに一人で抱え込むのが難しければ、「よりそいホットライン」(0120-279-338、24時間無料・通話無料)なども利用できます。
◆オメガ3αリノレン酸を含む主な油の種類
脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、αリノレン酸は不飽和脂肪酸に分類されます。
・えごま油
αリノレン酸を豊富に含みます。
・亜麻仁油
αリノレン酸に加え、食物繊維やリグナン(ポリフェノールの一種)を含みます。
・グリーンナッツオイル(インカインチオイル)
αリノレン酸に加え、ビタミンEを多く含みます。
・チアシードオイル
ロズマリン酸(ポリフェノールの一種)、食物繊維、ミネラル、ビタミンEを含みます。
摂取量の目安は、グリーンナッツオイルで大さじ1程度、それ以外は小さじ1程度とされることが多いようです。αリノレン酸は熱に弱く加熱調理には向かないため、ドレッシングやスープの仕上げ、パスタに和えるなど、非加熱で取り入れる方法がおすすめです。
◆まとめ
パニック障害は、脳内の神経伝達物質のバランスなど複数の要因が関わって起こると考えられている疾患です。オメガ3(αリノレン酸)の摂取は、不安症状の軽減との関連が研究で報告されている生活習慣上の工夫の一つですが、あくまで治療の補助と位置づけましょう。ストレスをためすぎない生活を心がけつつ、こうした食材を無理なく取り入れることは前向きな一歩になりますが、症状がつらいときは我慢せず、専門医に相談することを最優先にしてください。

