※2026年9月に最新情報へ見直しました。

うつ病の原因はストレスなど複数の要因が重なって起こると考えられていますが、「通院するほどではないけれど気分が落ち込みやすい」「カウンセリングや投薬治療を続けているけれど、食事でもできることがあれば知りたい」という方は多いのではないでしょうか。オメガ3脂肪酸を含む青魚やえごま油を日々の食事に取り入れることが、気分の落ち込みへの対策の一つとして研究されています。ここでは、その研究で分かってきたことと、食事だけに頼らず知っておきたい注意点を紹介します。
◆オメガ3とうつ病の関係、研究で分かってきたこと
オメガ3系脂肪酸(αリノレン酸・DHA・EPA)が不足すると、細胞膜の機能や炎症のコントロールに影響が出ると考えられており、精神面の健康にも関わる可能性が指摘されています。うつ病患者では、オメガ6系のアラキドン酸の数値が高く、オメガ3系のDHA・EPAの数値が低い傾向があるとする研究報告もあります。アラキドン酸は不飽和脂肪酸のオメガ6から作られる成分で、揚げ物や加工食品などに使われる油に多く含まれ、現代の食生活では過剰摂取が指摘されています。
2024年3月までのデータをまとめた最新のメタ分析(約2,300人分のデータを統合)では、オメガ3の補給によってうつ症状が有意に軽減し、寛解率や治療成績の改善が報告されています。特にEPAの比率が高い製剤で、EPAとして1日1〜2g程度を摂取した場合に効果が顕著だったとされ、国際栄養精神医学会のガイドラインでも、軽度〜中等度のうつ病に対する抗うつ薬治療の補助(増強療法)としてオメガ3系脂肪酸の使用が位置づけられています。
ただし、ここで注目したいのは、研究で効果が報告されている摂取量(EPAとして1日1〜2g程度)は、サプリメントとして精製された量であり、日々の食事だけで同じ量を安定して摂るのは簡単ではないという点です。あくまで「食事は治療を助ける生活習慣の一つ」と位置づけ、量を追い求めすぎないようにしましょう。
◆身近な食材でオメガ3を取り入れる
オメガ3(αリノレン酸・DHA・EPA)はどんな食材から摂取できるのでしょうか?αリノレン酸はえごま油、亜麻仁油に多く含まれているので、加熱せずサラダやみそ汁の仕上げにかけるなど、毎日の料理に少量取り入れると自然に摂取できます(酸化しやすい油のため、加熱調理には向きません)。DHA・EPAは青魚に多く含まれています。サンマ、イワシ、サバ、マグロなどが代表的です。青魚が苦手な人や調理が面倒な場合は、味噌汁の出汁に使ったり、缶詰を活用したりするのもおすすめです。無理をせず、続けやすい形で日常に取り入れることが大切です。
◆食べること、を大切に
うつ状態になると食欲が落ちて食事量が減ったり、逆に過食になりジャンクフードに偏ったりと、心の状態に引きずられて食生活も乱れがちになります。食生活の乱れが体調悪化を招き、それがさらに気分の落ち込みにつながるという悪循環も指摘されています。ストレス解消のために好きなものを食べること自体は悪いことではありませんが、それと合わせて、体に良いとされる食材も意識的に取り入れられるとよいでしょう。食べるもの、食べること自体を大切にする姿勢が、体と心の両方を支える土台になります。
◆食事はあくまで補助、つらいときは一人で抱え込まないで
ここで紹介したオメガ3の研究は、あくまで既存の治療を補助する生活習慣としてのデータであり、食事だけでうつ病そのものを治療できるというものではありません。気分の落ち込みが2週間以上続く、何をしても楽しめない、といった状態が続く場合は、食事の工夫だけで様子を見ず、心療内科・精神科への相談を検討してください。すでに通院中の方は、食事の見直しについても自己判断で治療方針を変えず、主治医に相談しながら進めましょう。つらいときに一人で抱え込むのが難しければ、「よりそいホットライン」(0120-279-338、24時間無料・通話無料)などの相談窓口も利用できます。
◆まとめ
なんとなく気分が晴れない、家事や育児、仕事にやる気が出ない、といった軽い気分の落ち込みに悩む人は少なくありません。そんなときは、普段使いの油をえごま油や亜麻仁油に変えたり、青魚を意識的に食事に取り入れたりするのも一つの工夫です。ただし、これはあくまで生活習慣としての補助であり、症状がつらいときは専門家に相談することを優先してください。無理をせず、じっくり続けていきましょう。

